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ダムで干上がるメコン 中国乱造、下流は悲鳴

 14, 2006 20:01
中国南部のメコン川上流に建設されている水力発電用ダムが、川の水位を低下させ、下流国での漁業や船舶の航行に深刻な影響を与えている。カンボジアでは東南アジア最大のトンレサップ湖の漁獲高が激減した。タイでは、中国との間を航行する貨物船が水位低下のために運航できない事態が発生し、上流での一方的な開発に反発が強まっている。
 「子供のころは毎日百キロから三百キロの魚が取れたが、今ではせいぜい二十キロ。悪いときは三キロしか捕まらない」。カンボジアの“母なるトンレサップ湖”で四十年以上も漁をして暮らすプラク・ローンさん(56)はうらめしそうに語る。
 カンボジアの内陸魚の漁獲高はピークだった二〇〇一年には三十八万五千トンだったが、〇四年には35%減の二十五万トンに落ち込んだ。トンレサップ湖では、特に重さ百キロを上回るメコン大ナマズなど大型魚がめっきり姿を消し、同湖の漁獲量は半減したとの環境保護団体の報告もある。
 トンレサップ水系で取れる魚は、カンボジア人のタンパク質摂取量の60%を占めるともいわれるが、同国のシンクタンク「カンボジア経済研究所」によると、〇三年九月から翌年九月までの一年間で魚の値段は69%も値上がりし、「フィッシュ・クライシス(魚危機)」に直面していると警告している。
 原因としてはメコン川から流れ込む水量が減り湖の水位が低下したことや、森林の違法伐採、乱獲などが挙げられているが、カンボジア政府のある高官は、「もっとも重大なのが中国が建設しているダムだ。下流の水位が低下し魚の生産が影響を受けている」と指摘した。
 中国南部では、メコン川本流だけで一九九三年と〇三年に一つずつ巨大な水力発電用ダムが建設された。〇四年に川のせき止めが行われ、現在建設が進められている小湾ダムは世界最大規模とされ、小湾ダムを含む三つのダムが近年中に稼働する予定だ。
 このほか建設計画中のダムが少なくとも三つあり、本流に流れ込む支流を含めると実態がよくわからないほど多くのダムが建設されているといわれる。こうしたダムにより、メコン川の水量が人為的に調整され、下流に深刻な打撃を与えているとの指摘が専門家から繰り返し指摘されている。
 一方、中国のダム建設で、カンボジアよりもさらに直接的な影響が出ているのが中国に近いタイ北部だ。
 昨年三月には、タイの貨物船の一部が水位低下のために航行不能に陥った。タイの輸出業者は、中国が自国の貨物船が航行するときだけ都合よく水位を上げ、それ以外はダムの水門を狭くするため、タイの貨物船が影響を受けていると非難。その結果、タイ側の貨物船の一日の運航数は五-十隻から一-二隻に落ち込み、輸出が20%も減少したという。
 タイの環境保護団体東南アジア河川ネットワークによると、中国が初めてメコン川にダムを建設した九三年以来、乾期の水位は低下し続けており、同ネットワークのピアンポーンさんは「今年の乾期はさらに状況悪化が進んでいる。このままでは、漁業者だけでなく、メコン川周辺の経済全体にも影響を及ぼす」と話している。

(産経新聞)
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